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雨の朝の庭園。雨宿りの東屋でふたりは出会う。空に遠雷が響くと、孝雄の頭に浮かんだ言葉と同じ言葉を、雪野が呟く…/小説 言の葉の庭③

2022年9月16日

  • 映画最新作『すずめの戸締まり』の11月公開を控え、過去作品に改めて注目が集まる新海誠監督。2013年に発表し「映像文学」とも呼ばれる映画『言の葉の庭』を、監督自身が小説化した『小説 言の葉の庭』を全4回連載で第二話までご紹介します。今回は第3回です。雨の朝の公園で、高校生の孝雄と、謎めいた年上の女性・雪野が出会う。約束はなくても、“雨が降る朝”はいつもの場所で会うようになり、ふたりは静かに、ゆっくりと心を通わせていく…。小説版では、主人公のまわりの登場人物たちのストーリーも描き、重層的に物語が進んでいきます。活字から映像が浮かんでくるような「小説家・新海誠」の世界をお届けします。5月の雨の朝。公園の東屋で雨宿りをしていた雪野は、制服を着た一見真面目そうな高校生・孝雄と出会う。


    小説 言の葉の庭
    『小説 言の葉の庭』 (新海誠/KADOKAWA)

     柔らかな足音に顔を上げると、ビニール傘を差した少年が立っていた。


     一瞬だけ目が合ってしまった。誰かがこんなに近づくまで気づかなかったなんてと、雪野(ゆきの)は不思議に思いながら目を伏せる。雨の音を聴いていたからかな。

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