ダ・ヴィンチWeb - ワラウ

「オレ…天狗?」天狗の末裔の兄弟が送る、スローライフ。自然の恵みを受ける彼らの姿にとことん癒される『天狗の台所』

2022年9月22日

  • 天狗の台所
    『天狗の台所』(田中相/講談社)

     季節によって表情を変える、日本の大自然。そこには雄大な美と、万人の舌を喜ばせる命の恵みがある。そう、ぼくらは自然の恩恵を受け、そのおすそ分けをいただきながら生きているのだ。


    『天狗の台所』(田中相/講談社)で描かれるのは、自然と共生する一組の兄弟の姿。まさに“スローライフ”という言葉がぴったりな暮らしだが、読んでいるととにかくお腹が空き、そして自然のなかで生きることの贅沢さが伝わってくる。「羨ましい」とさえ感じるような世界観が、そこには広がっている。


    天狗の台所 p.16

    天狗の台所 p.17

     主人公の飯綱オン(いづな・おん)はニューヨーク育ち、ピンク色の髪の毛をした14歳の少年だ。しかしあるとき、両親から「隠遁生活を送ること」を命じられる。行き先は日本。そこで待っているのはオンの兄である29歳の基(もとい)。兄弟ふたりでの新生活のはじまりだ。


     しかしどうして突然そんなことになるのか。しかもなぜ「隠遁生活」なのか。それはオンが「天狗の末裔」だから。天狗会連盟には「14の歳は人目につかず生きよ」というしきたりがあり、それに従わざるを得ないらしい。当然ながら基にも天狗の血が流れており、彼のもとでオンの隠遁生活がスタートする。

    続きを読む