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「理想の自分を演じすぎて息苦しい」理想は一時的な目標に――心落ち着かせる処方箋のような1冊

2022年11月23日

  • こころの処方箋
    『こころの処方箋』(河合隼雄/新潮社)

     綴られている、綺麗ごとではないアドバイスが忘れられない――。『こころの処方箋』(河合隼雄/新潮社)は筆者にとって、そう思える特別な1冊だ。


     高校生の頃、読書感想文の課題図書候補であった本書を軽い気持ちで手に取った時、トゲトゲした心が包み込まれたように感じた。


     著者は2007年に亡くなった、臨床心理学者の河合隼雄氏。箱庭療法を日本に導入し、日本臨床心理士資格認定協会を設立して臨床心理士の資格整備にも貢献した人物だ。


     本書では診療経験や見聞きした話などを交えながら、心に抱えた苦しみを減らす考え方を全55個紹介している。


    端的に言えば、ここには「常識」が書いてあるのだ。(中略)しかし、常識というものは「腹の底」でわかっているのだが、言葉にはしにくいのである。人から人へと、言わず語らずのうちに伝わるのが「常識」というものだから、それを「語る」のは、あんがい難しい。

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