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馬と恋に落ちた人間の娘。決して許されぬ恋の行方は… 柳田国男『遠野物語』繊細な筆致でコミカライズ!

  • 岩手県の遠野地方に伝わる伝承を、民俗学研究者・柳田国男が編纂しまとめた説話集『遠野物語』。その不思議な物語の数々を、親しみやすい漫画という形で刊行したのが『遠野物語』(鯨庭:漫画、柳田国男:原作、石井正己:監修・解説/KADOKAWA)である。


    コミカライズを担当した鯨庭氏は、「千の夏と夢」「ばかな鬼」などの短編作や、初の長編連載「言葉の獣」でも話題を集めた新進気鋭の漫画家だ。自然・動物の緻密な描写や、架空の生物に対するリアリティある筆致を大きな武器としている。


    遠野物語といえば民俗学の先駆けとして、1910年の発表から現在にいたるまで多くの人々に親しまれている、怪異の世界の物語を綴った説話集である。河童や狐、天狗や雪女。古くから日本に存在すると信じられている妖怪にまつわる話や、本来人と獣の間に引かれた境界線を超えて展開する物語の数々が、本作には収録される。ここで語られる伝承は、すべて実際にあった出来事とされるのも興味深い点だろう。

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