直木賞作家・万城目学のデビュー作。謎の競技「ホルモー」にかける青春が尊い!? 実写映画化もされた『鴨川ホルモー』 #京都が舞台の物語【書評】
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京都の大学に通っていたとき、とても変な映画を観た。直木賞受賞作家・万城目学氏のデビュー作『鴨川ホルモー』(万城目学/KADOKAWA)を実写映画化した作品だ。現代の京都を舞台に、学生たちが鬼や式神を使って戦うという不思議なお話。当時は「妖怪モノのおもしろい作品」という印象だったが、大人になった今、原作小説を読んで気付かされたことがある。これは、京都で学生生活を送った人すべてにおくる、青春部活モノなのだと。
二浪の末、ようやく京都大学に合格した主人公の安倍は、葵祭のエキストラのバイト帰りに「京大青竜会」という怪しげなサークルの新歓を受ける。タダ飯目当てで新歓コンパに参加した安倍だったが、そこで出会った早良京子に一目惚れ。彼女に近づきたい一心でサークルに入会してしまう。大文字山に登ったり、琵琶湖にキャンプに行ったりと、何の変哲もないレクリエーションサークルと思われた「京大青竜会」。しかしその実態は、謎の競技「ホルモー」を行う団体だった……!