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これが晩ご飯…?小麦粉を焼いただけの食事に絶句。それでも笑って生きた貧困生活の記録【書評】

  • お金がない環境では、衣食住が苦しいだけではなく進学や遊びなどさまざまなことを諦める必要がある。そんな現代の貧困をとことんリアルに描いた作品が『明日食べる米がない! ~親が離婚したら、お金どころか、なーんにもなくなりました!!~』(やまぐちみづほ/KADOKAWA)だ。本作は、作者自身の貧しかった幼少期を描いたコミックエッセイである。


    作者が5歳の頃、両親は離婚。母親との2人暮らしに。冷蔵庫も洗濯機も入らない6畳の小さな部屋で、これまでとは違う生活が始まった。 母は仕事を掛け持ちして働いているため、幼いながらにひとりで過ごす時間が増える。それでも家計はギリギリで、手作りだったお弁当はやがて菓子パンになり、夜ご飯は小麦粉を薄く焼いたもの1枚になり…。


    しかし作者は、お金がなく自由度の少ない日々の中でも絵を描くことを楽しんだり、習い事ができなくてもできるフリをしてみたり…と希望や楽しさを見つけていく。

    シリアスな内容が続くなかでも気負わずに読めるのは、常に前向きな作者の姿に力をもらえるからだろう。


    やがて作者の成長と共に、貧困による辛さの形も変わっていく。中学時代には家賃が払えず家を追い出されそうになる事件も。お弁当の具材から進路選びまで、さまざまなことを周りの友人と比較し辛くなることも多かった。


    高校時代には、スマホを持っていないことも影響し、学校に馴染めない。こういった出来事に作者はもちろん涙を流すのだが、その後に必ず自分なりの解決策を見つけ出していく。何があっても折れず、力強く生きていく姿にエールを送らずにはいられない。


    高校卒業後も、作者には数多くの試練が待ち受ける。進学や仕事、母との関係、憧れていた漫画の出版…それらとしっかり向き合った末に作者が見つけた夢。これからも夢に向かって自分らしい人生を歩んでいく作者を、私は心から応援したい。


    文=ネゴト / fumi

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