これぞ「ゼニと夢が支える芸能裏面史」! マドンナ、ボン・ジョヴィを「前座」時代に見いだし、日本に呼んだ男の「一代記」【書評】
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昨年、「OASIS再結成」の報が世界的ビッグニュースとなった。ほどなく日本公演も発表され、新旧のファンが熱狂。当然即ソールドアウトしたのだが、そのチケットの高騰ぶりには絶句した方もいただろう(東京ドームのSSが3万3000円、一番安いBでも1万2000円だ)。「円安にしたって高すぎない?」と思う金額だが、『呼び屋一代 マドンナ・スティングを招聘した男』(宮崎恭一/講談社)を読めば、いわゆる「海外アーティストの招聘現場」の博打っぷりを垣間見て、ちょっとだけ納得(?)するかもしれない。
本書は海外アーティストの来日公演をプロモートする「呼び屋」として、数々のビッグネームの来日公演を実現させてきた音楽・映画プロデューサーの宮崎恭一さんの半生記だ。コンサートに行ったことのある人ならば「キョードー東京」や「ウドー音楽事務所」といった社名を聞いたことがあるかもしれないが、多くのコンサートはこうした「イベンター」と呼ばれる企業が招聘からイベント運営までを手がけている。大物アーティストになればなるほどこうした大手イベンターによる仕切りが増えるが、そんな中で宮崎さんは80年代から「ほぼ独立系」(一時期、西武百貨店事業部長に就任)で、数々のビッグネームの公演を成功させてきたのだ。