家の鍵がない! 玄関前で困っていたら隣の部屋の男性が声を掛けてくれて…/おひとり様が、おとなり様に恋をして。①

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『おひとり様が、おとなり様に恋をして。』(佐倉伊織:著、欧坂ハル:イラスト/スターツ出版)第1回【全11回】
アラサーの万里子は、仕事のストレスや疲れをビールとおつまみで発散する、おひとり様暮らしを満喫していた。ある夜、鍵を落として家の前で困っているところを隣人の男性・沖に助けられる。話をしていくうちにふたりは以前にも会っていたことが判明。思わぬ再開から長年恋から遠ざかっていた万里子の日常が淡く色付き始めーー。恋愛小説レーベル「ベリーズ文庫with」から刊行の、恋愛下手な大人女子によるピュアラブストーリー『おひとり様が、おとなり様に恋をして。』をお楽しみください。
すっぴんの再会
「えっ、嘘……。鍵は?」
まだ暑い盛りの八月下旬。仕事を終えてホッとひと息つけるはずだった金曜の二十時の出来事だ。
私、尾関万里子は、マンションの部屋の前でショートパンツのポケットに手を入れて声をあげた。ここに入れたはずの家の鍵がないのだ。