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いじめられっ子が迷い込んだのは不思議な夢の世界。次々と襲い来る化け物たちから逃げ延び、現世へ帰ることはできるのか?【書評】

  • 子どもの頃、ほかの人には見えない“友達”がいた。あるいは、誰もいない所に向かってひとりで楽しそうにお喋りをしていたことがある。幼少期に、そんな不思議なエピソードを持つ人は意外にも多い。そんな幼い頃の“友達”との不思議な冒険奇譚を描いた物語が、イラストレーターとしても活躍する夜市氏による『少年の怪夢奇譚』(KADOKAWA)である。


    いじめられっ子の主人公・まことはある日、いじめっ子とのトラブルの中で階段から転落してしまう。目覚めると周囲は真っ暗で、なぜ自分がここにいるかもわからない。そんな中彼の目の前に現れたのは、和装に身を包んだ同世代の少年・小太郎だった。


    小太郎曰く、まことは不思議な夢の中に迷い込んでおり、この世界で記憶の欠片を探してそれを鍵に記憶の扉を開いていくことで、現世へと帰れるのだという。だが夢の中では、血まみれの女子高生や巨大なろくろ首など、皆一様に能面をかぶった妖怪たちがふたりに襲い掛かってくる。彼らの攻撃をかわしつつ、現世へと帰ろうとするが――。

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