嘘つきは泥棒の始まり/絶望ライン工 独身獄中記㊶

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仕事終わりにコンビニに寄る。
ローソンの鶏竜田揚げ弁当、これが実に旨いのだ。
ザクザクの衣におろしポン酢をかけ、ワカメご飯とともにかっこむ。
汁物にワンタンスープでもつけたらたまらねえ晩飯になる。
700円を超える高貴な晩餐会、それならビールも飲まねばなるまい。
缶ビール1本じゃ足りない。2本買ってポテチもつける。
こうして労働で稼いだ日銭をそのまんま夜に散財しちまう。江戸っ子である。
家までの道も気分がいい。左手にぶら下げているコンビニ袋には、なんてったって今夜の酒宴がご機嫌に詰まっていやがる。
約束された快楽はずしんと重い。思わず顔の高さまでレジ袋を掲げ、自撮りをしてみる。
写真をSNSに投稿し、最高の夜である旨声明を公告するためだ。
すると通りの向こうから1台のタクシーが減速して、方向指示器をチラチラ光らせながら傍らに停車した。
左手を上げる動作を誤認したらしい、運転手がこちらを見ている。
ごめんなさい、間違えましたとジェスチャーで伝えると、またチラチラ光りながらタクシーは走り去った。