ダ・ヴィンチWeb - ワラウ

「完璧な母親」を目指すほど迷走ばかり!情報過多の時代に生きる限界ママの育児コミックエッセイ【書評】

  • 初めての仕事、初めての一人暮らしなど「初めて」には皆戸惑うものだ。マニュアルがあったり先輩の助言があったりと、比較的明確な「正解」が存在するものがある一方、初めての育児はどうだろうか。子どもの個性や家庭環境によって千差万別で、さらに選択が子どもの将来に影響するかもしれないという重圧がある。そこには「絶対的な正解」が存在せず、情報過多の現代ではむしろ選択肢が多すぎて、どの道を選ぶべきか迷ってしまう。


    『正しいお母さんってなんですか!? 「ちゃんとしなきゃ」が止まらない! 今日も子育て迷走中』(真船佳奈/幻冬舎)は、今の時代ならではの子育ての難しさを描いたコミックエッセイ。


    主人公は令和の新米母・真船。子育てとは無縁の生活を送ってきた真船は、育児に対して分からないことだらけ。子どもの成長と共に外出が増えると、人の目線が気になって仕方なくなる。さらにSNSや周囲の多様な声に耳を傾けながら「完璧な母親」を目指せば目指すほど迷走していくのだった。

    本作が描くのは、情報があふれる時代の「初めての育児」への向き合い方だ。もちろん育児中にインターネットの声や、周りの声に助けられることもあるだろう。だが、その声が負担に感じるなら「人は人、自分は自分」という視点を持つことも自分を守る武器になる。自分が良いと思うことを取り入れたときこそ、育児の楽しさを実感できるのかもしれない。


    育児の中で完璧さを求めてしまう人にぜひ読んでほしい作品だ。仕事や学校の戸惑いとは異なり、育児には明確な正解がない。だからこそ、他人の意見に振り回されず、自分と子どもに合った方法を大切にすることが、心の負担を減らすコツなのかもしれない。本作を読めば、共感して笑顔になり、悩んでいるのは自分だけではないと気付かされるだろう。そんな共感と安心感こそ、情報過多の時代に必要な支えなのかもしれない


    文=ネゴト / くるみ

  • スタンプを獲得するには、一度 ワラウ を経由してください

    記事一覧に戻る