好きな人は神様のために体を売る。男子高校生たちの歪な純愛を描く『またね、神様』【書評】

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人を救うのは、なんと難しいのだろうか──。ヴヤマ氏による『またね、神様』(白泉社)が発売された。関西弁で語らうかわいらしい男子高校生たちの恋模様を入り口に、人生について深く考えさせる作品だ。電子版ですでに話題をさらっており、待望の紙版で上下巻同時リリースされた。
高校2年生の青島両(あおしま・りょう) は、別クラス の矢巾幸太郎(やはば・こうたろう) の美しさに気づき、距離を縮める。
しかし、幸太郎は家庭に複雑な事情を抱えていた。彼は母親が信仰する宗教の儀式と称して、男性信者たちに体を捧げていた。「宗教二世」「親による性行為の強要 」など、センセーショナルな描写が続く。大人の介入が必要な状況だが、幸太郎は母親に深い愛を抱いており、引き離されることを激しく拒否している。おぞましい状況ながら、儀式に及ぶ幸太郎の表情は加虐心を煽り、純情だった両が狂ってしまうのもうなずける。
解決が難しい社会問題をテーマとしており、読んでいて胸が締め付けられる場面も多い。 両は幸太郎を救うため、彼の家で行なわれていた行為を警察へ通報した上で、強引なやり方で二人暮らしを始める。 両の行動を若さゆえの視野狭窄と切り捨てたくなるかもしれない。しかし「大好きな人を、害のある場所から命を懸けてでも連れ出したい」と願った、両の純愛と正義感は共感を誘うだろう。一方で、たとえ害があっても、母と暮らしてきた家を大切な居場所と信じて生きていた幸太郎にとっては、おそらく人生を否定されたような苦痛が伴ったのではないか。