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王族に生まれた人間は、その立場ゆえに自身の幸せよりも公的責任を優先しがちだ。現実世界でも、王族の婚姻は自由恋愛よりも政治的な事情によることはよくある。


『隣国から来た嫁が可愛すぎてどうしよう。』(さくら青嵐:原作、あざらし県:漫画、桑島黎音:キャラクター原案/主婦と生活社)では、それとは正反対の物語が描かれる。本作では、急な婚約話を機に、思いがけず理想の相手に巡り合った王族の青年の戸惑いと葛藤が、ユーモア溢れるテンポ感で描写されている。


主人公は、ティドロス王国の第三王子・サリュ。中性的な美しさを持つ兄たちと違い、父親譲りの無骨な雰囲気を持つ彼は、年頃の令嬢たちから「怖い」「ムサい」「臭い」と言われてことごとく敬遠される。見合いはすべて失敗に終わり、25歳にして早くも一生独身を覚悟していた。


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