大河『べらぼう』にも登場、山東京伝のある作品はまるで「おじさんLINE」!? 苦手だった古典作品が読みたくなる、対談形式の“古典ガイド”【書評】

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大河ドラマ『べらぼう 蔦重栄華乃夢噺』が話題である。主人公は、自力で出版社をたちあげて、江戸に文化を花開かせる担い手となったプロデューサー、蔦屋重三郎。スポットライトをあてられて、はじめてその人生が波瀾万丈で物語になりうるおもしろさだと知った人も多いだろう。
歴史のなかにはそうした「教科書で名前を見たことはあるけど、よく知らない」人々の偉業や、彼らが生みだした「読みにくいし、古臭いし、興味がもてない古典文学」の傑作がたくさん、潜んでいる。その魅力を存分に引き出してくれるのが『「古典の授業? 寝てたよ!」というあなたに読んでほしい 実はおもしろい古典の話』(谷頭和希×三宅香帆/笠間書院)だ。
都市ジャーナリストでチェーンストア研究家の谷頭和希さんは、元古典の教師。『妄想とツッコミでよむ万葉集』や『〈萌えすぎて〉絶対忘れない! 妄想古文』など、さまざまな角度から古典のおもしろさを布教してきた書評家の三宅香帆さんとともに、本作では、対談形式で古典文学の名作を解釈しなおすというものだ。これがまあ、着眼点のおもしろいこと。個人的に、もっとも惹かれたのは第1章の「江戸文芸のはなし」。