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 夏空と永遠の先で、君と恋の続きを 姉崎あきか/メディアワークス文庫/KADOKAWA


「永遠の夏休み」という甘美な響きは胸のときめきを誘う。けれども、もし自分だけがその夏休みから抜け出せないとしたら、楽園は地獄に様変わりするだろう。姉崎あきか氏の『夏空と永遠の先で、君と恋の続きを』(メディアワークス文庫/KADOKAWA)は、8月30日に閉じ込められてしまった恋人たちの姿を描くラブストーリーだ。


主人公の青年・渚沙は、離島で旅館を営む叔父夫婦の世話になりながら浪人生活をおくっている。8月30日の金曜日が終わって眠りについたところ、朝になっても同じ8月30日が繰り返されていることに気づく。すべてが同じように進む1日の中で、東京から来た3人組女子の1人、ひまりだけは前回と違う髪留めをつけていた。


ひまりもループに気づいている人だと見抜いた渚沙は彼女に話しかけるが、上手くはぐらかされてしまう。それでも諦めずに手がかりを求めて交流を続ける中で、ふたりは少しずつ打ち解けていき、やがて渚沙はループの秘密をひまりから教えられる。このループは繰り返しの回数が決まっており、22日目を最後に抜け出せるというのだ。終わりがあると聞いて安心した渚沙は、同じ1日を過ごしながら、ひまりへの恋心を深めていくのだった。


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