世界一を決めるW杯の決勝トーナメントでも、さまざまなドラマを生んできたPK戦。それまでの試合展開とは無関係に勝敗が決まるため、その存在自体が批判にさらされることも多く、「クジ引きと変わらない(実力ではなく運の勝負だ)」と揶揄する声もよく聞かれる。
そんなPKを題材にした350ページ超の大著『なぜ超一流選手がPKを外すのか サッカーに学ぶ究極のプレッシャー心理学』(ゲイル・ヨルデット:著、福井 久美子:訳/文藝春秋)が翻訳出版された。
著者は心理学とサッカーの関係を専門とするノルウェーの大学教授。巻末には25ページほどにわたって参考文献リストが並んでおり、科学的見地からPKについて分析するゴリゴリの学術書といえる内容だ。
ただ、W杯やチャンピオンズリーグの名勝負や世界のスタープレイヤーが続々と登場する内容なので、サッカー好きならまず「サッカーの本」として楽しく読める。そして紹介されるPKに関するデータもすこぶる面白い。