プロの漫画家に限らず、漫画を「描く」趣味を持つ人は年々増加傾向にある 。安価なペイントアプリの普及に加え、Web上には様々なハウツー情報が充実。各種SNSや、同人誌即売会など、作品発表の場に困ることもない。画材などの金銭的負担や、秘匿されがちな技術の習得に骨を折っていた一昔前とは打って変わり、今や漫画を描くことは、気軽に始められる趣味のひとつとなったのだ。
しかし、いくら気軽になったとはいえ、漫画を描くことの難易度が下がったというわけではない。漫画制作には大小様々な難所があるが、その中でも多くの人がつまずきがちな障害といえば、なんといっても背景の作画ではないだろうか?
漫画は懐が深い表現方法だ。キャラクターさえ描けていれば、背景がなくても漫画は成立させられる。誰もが泣ける名作漫画を描くことだってできるはず!……それはその通りだろう。しかし、説得力ある背景作画ができれば、その面白さを倍増させることができる。生きた背景の前に立つキャラクターは存在感を増し、状況の真実味は格段に増すのだ。