一握りの人間を除き、夢とは潰えるものだ。ネガティブな言い方だが、逆にひとつの夢がうまくいかなかったら、サクッと新しい夢を見ればいい。人生は長いのだ。
「どう生きるか」なんて深いことを言いたいわけではないので安心してほしい。本稿は、一度は夢破れた人間たちがそれなりに戦うマンガを紹介したい。それが『平成敗残兵すみれちゃん』(里見U/講談社)である。
主人公は、平成時代に売れなかった元アイドルのすみれちゃん。三十路になっても美人でグラビア番長だったスタイルは維持している。基本“おもしれー女”だが、ありていに言って“ダメ人間”だ。そんな彼女が三歩進んで二歩下がって、ゆるく再生していく物語。色々厳しい令和の時代、必死に生きる私たち全員に刺さる、と言いたいところだが、そこまでシリアスに読むマンガでもないので肩の力を抜いて楽しんでほしい。