ダ・ヴィンチWeb


ホラーというジャンルには、不思議な余韻がある。一度読んだだけで、日常の何気ない瞬間にふと思い出してしまい、背筋をゾクリとさせるのだ。もしかすると、それに触れたことで、現実に何か異変が起きるのではないか。そんな漠然とした不安を抱いたことのある人もいるのではないだろうか。


『コワい話は≠くだけで。』(景山五月:漫画、梨:原作/KADOKAWA)は、そんな「ホラー」や「怪談」というテーマに、ホラーが苦手な漫画家が、あえてその世界に飛び込む姿を描いた異色作だ。


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物語の主人公は、普段は雑誌やポータルサイトで漫画を描いている漫画家・景山五月。ある日、担当編集者から持ちかけられたのは、ホラー漫画の連載という思いがけない企画だった。


「若干の不安を抱えつつも、とりあえず引き受けてみることに」――そんな経緯から始まる本作だが、描かれていくのは、読者の心にじわじわと染み込んでくる“リアルな恐怖”である。


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