学歴に対して強いこだわりを持ち、学歴を他人の評価の基準にする、いわゆる「学歴厨」。一般に東大、京大、早慶出身者の高偏差値難関大学出身者に多いといわれるが、炎上を繰り返しながらも学歴いじりを続けるYouTube番組『wakatte.TV』が人気を集めるなど、多くの人の心の底を刺激&共有されやすい感覚なのかもしれない。
作家の佐川恭一さんの新刊『学歴狂の詩』(集英社)も、そんな学歴厨マインドを自虐的に描いた笑えるノンフィクションだ。著者の佐川さんは滋賀県出身。ガリ勉&高偏差値で小中から町内で「神童」と呼ばれ、そのまま東大寺学園など超進学高に合格するも、家から通える某R高校の特進クラスに進学し、一浪で京大文学部というハイスペック学歴の持ち主だ。本書には佐川さん自身も抱える学歴厨ぶりを清々しいほどにぶっちゃけつつ、共に受験マシーンとして先鋭化を続けた友人たちの「生態」が描かれる。ちなみに表記は学歴「厨」ならぬ学歴「狂」。「東大文一原理主義者」「数学ブンブン丸」「非リア王」などと名付けられた彼らのこだわりや執念は一段と激しく、あまりの極端ぶりにドン引きというより、失礼ながら笑えてくる。