共同親権という言葉が、新聞やニュースで語られる機会が増えてきた。特に離婚後も共同親権を選択できるよう法律が改正され、2026年までの施行が発表されてからは、その是非や影響に注目が集まっている。
しかし、「そもそも共同親権とは何か」「なぜ日本では受け入れられにくいのか」といった本質的な問いに向き合える情報は、そう多くない。『子どもは誰のものか? 離婚後「共同親権」が日本を救う』(嘉田由紀子/文藝春秋)は、そうした問いへの手がかりを与えてくれる一冊だ。
著者の嘉田氏は環境社会学者であり、かつ過去に滋賀県知事を務めるなど政治家としても活動してきた経歴をもつ。また、自身も離婚・子育ての当事者としての経験がある。著者の専門知識と個人史の両面から、多角的かつ実践的に共同親権の可能性を論じている点が、本書の大きな特長だ。