龍に守護され龍の血が治めし龗(リョウ)の国を舞台とした『雨の皇子と花の贄』(白泉社)は、これまでもファンタジー作品を届けてきたもといも氏の最新作だ。
厄災の龍が復活するという神託を受け旅をする慈雨(じう)。旅の途中、深い傷を負った彼を救ったのは、周囲の人々から“花嫁”と呼ばれる少女・よひらだった。5日後に婚礼を控えるという彼女のもとにいることに後ろめたさを感じる慈雨だったが、彼の傷は思ったよりも深く……。そうして慈雨とよひら、ふたりのタイムリミットつきの共同生活がスタートする。しかしよひらには秘密があった。“花嫁”とは龍への生贄のこと。婚姻とは厄災の龍の鱗を植えつけられたよひらを龍へと捧げる儀式だったのだ。