『母の勘を信じて 次男が入院するまでの記録』(みほはは:著、Dr.しば:監修/KADOKAWA)は、幼い子どもを持つ母親が「いつもと違う」と感じた違和感を頼りに、自らの直感を信じて行動する様子を描いたコミックエッセイだ。
常にそばにいるからこそ気づく、小さな変化。「なんだかいつもと違う」「どこかおかしい気がする」そんな違和感は、気のせいではないのかもしれない。けれど、いざ病院を受診しても、「気にしすぎですよ」「そのうち良くなります」と言われてしまえば、親は迷い、戸惑うものだ。「大丈夫」と言われた安心感と、「でもやっぱり……」という胸騒ぎとの間で揺れ動く。本作は、そんな葛藤のなかで母親がどのように自分自身と向き合い、大切なものを守ろうとするかを、リアルに、丁寧に描き出している。
医学的なデータや数値では拾いきれない、ほんのわずかな異変。子ども自身も上手に言葉にできない不調。子どもの“微妙な違い”を見逃さないのは、誰よりも日々を共にしている親だからこそ。そして、その「母の勘」は、決して軽んじられるものではない。