「格好よくない」
鏡を見ながら絶望している。昨年まで似合っていたはずのストライプのシャツが、今年の僕にはまったく似合っていない。購入したときの思い出は今でも鮮明に覚えている。ツアーで福岡に行って、プラプラと散歩をしていた際、ショーウィンドウで一目惚れした服だ。試着する前から「多分、絶対に買うかも」と語彙が破綻したウキウキした感じ。早く着たくて店で着替えてホテルに帰った日を、昨日のことのように感じる。
しかしである。半ばこのシャツを着たいがために衣替えをしていた節すらあるというのに、一年後に着たらあのトキメキが綺麗さっぱりなくなっていた。
「去年より太ったのかな?」と思って体重計に乗ってみても、体重や体脂肪率は変わっていない。マッシュな髪型も、うっすら奥二重も昨年と同じまま。見た目が変わったようには思えない。とはいえ、クローゼットの中で服のサイズや色が勝手に変わるなんてことはないはずなので、どう考えても僕の何かが変わったはずだ。