空を見上げて「誰もいない場所に行きたい」とつぶやくのは、孤独な日々に疲れた43歳独身の長島夢彦。そんな彼の前に現れたのは、「空を飛んでみたくない?」と持ちかける謎の男。彼が提案する“飛ぶ力”を得る代償は、長島自身の人生そのもので――。漫画家・勝見ふうたろー氏が描く、ちょっと不思議な短編漫画。
本当の幸せを求め、満月の夜に月を目指して飛び立つ夢彦。飛ぶ途中で目にしたのは、家族や恋人、友人と共に幸せそうに過ごす人々の姿だった。その光景に絶望し、泣き叫ぶ夢彦。しかし、そこには同じく月を目指して飛ぶ多くの同志たちが……。
人生を差し出した男は幸せになれたのか?
――空を飛ぶ力と引き換えに人生を差し出すという設定はどこから思いついたのでしょうか?
夢彦は悩むけれど、最終的には人生を差し出してしまうタイプだと思うんです。彼にとって、人生というものが今、相当ぐらついているものなんじゃないかなと感じていました。