毎日知恵を絞って働いているのに正当に評価されない。スマホやSNSで好きなコンテンツを見ているはずなのに、心が満たされない。そんなやり場のないモヤモヤした気持ちを抱えている人も多いのではないだろうか。こうした私たちの苦しみには、テクノロジーの進化がもたらした世界の大きなうねりが関わっているのかもしれない。その答えは、本書『テクノ封建制 デジタル空間の領主たちが私たち農奴を支配する とんでもなく醜くて、不公平な経済の話。』(集英社)を読むとわかる。
著者は、2015年のギリシャ経済危機の下、財務大臣に就任し、現在はアテネ大学で教授を務める経済学者のヤニス・バルファキス氏。著者は、政治家としてギリシャや世界の経済危機と向き合ってきた経験と経済学的知見から、今、世界には、資本主義に代わる新たなシステム「テクノ封建制」が跋扈していると説く。