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※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。


『きょうだい、だけどいや ケアをさせられたきょうだい児だった、けど』(のまり/竹書房)は、重い病気などを持つ兄弟姉妹を支え続ける「きょうだい児」の心の葛藤を描いたコミックエッセイである。


主人公・手塚ナミには、小児喘息を患う妹がいる。幼い頃から「お姉ちゃんなんだから」と言われ続け、家族を支える役割を求められてきた。自分だって親に甘えたい、大事にされたい。そんな思いを心に押し込めて我慢を続けてきたナミ。だが、大人になった彼女は、母親の何気ない言葉をきっかけに、積み重ねてきた感情があふれ出す。


ナミが我慢を強いられてきた過去のエピソードを読み進めるうちに「母親はもう少し配慮できたのでは……」と思わずにはいられない。けれど同時に、病を抱える子を必死に守ろうとする親としての苦しみも伝わってくる。だからこの問題は決して善悪だけでは語れないのだと、あらためて考えさせられる。


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