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長髪に黒ずくめ、鋭い目つき。そんな風貌の男性が、街中でおばあちゃんの荷物をそっと持ってあげていたら、あなたはどう感じるだろうか? 「見た目が9割」と言われるように、私たちはつい外見だけで人を判断してしまいがちだ。


『見るからに怪しい二人』(鬼澤馬勇/KADOKAWA)は、そんな社会のあり方をユーモアで包み込み、優しく問いかけてくる作品だ。登場するのは、「長髪」と「短髪」と呼ばれる、どう見ても悪人にしか見えない男二人。見た目は怪しさ満点だが、その中身は驚くほどピュア。まるで小学生のように素直な会話を交わしながら、公園でのんびりと過ごす日々を送っている。


見た目のせいで日々誤解されがちな二人だが、そんな周囲の視線にも、どこ吹く風。自分たちらしくマイペースに日常を楽しむその姿には、自然と心がゆるむ不思議な力がある。落ちているゴミを拾い、迷子の猫を探し、体調の悪い人をさりげなく助ける。そんなささやかな“善意”の積み重ねが、少しずつ周囲の人々に伝わっていく。


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