ダ・ヴィンチWeb


幸せの形は人それぞれ。他人と自分を比べることには、意味のない苦しさが伴う。しかし、人は精神的に追い詰められると、ついそのことを忘れてしまいがちである。他人の成功や幸福が自分を苦しめるように感じられ、その結果、自らの幸福を実感するために逆に他者を見下したり、優越感を得ようとしたりする心理が働くのだ。


『私はあのママ友より幸せだと思っていたのに』(すやすや子/KADOKAWA)では、そんな過剰な優劣への執着から歪んでしまったママ友同士の関係の変化が描かれている。


本作の舞台はとあるマンション。生まれたばかりの息子と9歳の娘、そして夫との4人で暮らすサヤカのもとに、同じマンションに越してきたエミが家族で挨拶にやってくる。優しそうなエミとその娘、そして穏やかな夫――、サヤカの目には、エミの一家は、まさに理想の家族のように映った。


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