『茉莉花官吏伝~後宮女官、気まぐれ皇帝に見初められ~』(石田リンネ:原作、高瀬わか:漫画、Izumi:キャラクター原案・原作イラスト/秋田書店)は、才能を見出された少女が、男性社会に挑みながら、女性官吏として未来を切り拓いていく中華風後宮ファンタジーだ。
物語の舞台は、女性が自由に活躍するにはまだ厳しく、男社会の価値観が色濃く残る時代。そんな中、後宮でひときわ異彩を放っていたのが、“一度見たものは忘れない”という天性の記憶力を持つ少女・茉莉花だった。けれど、その才能ゆえに、彼女は周囲からの嫉妬や偏見にさらされる。その才能を隠すように、目立たず慎ましく日々を過ごしてきた。
そんな茉莉花に手を差し伸べたのが、若き皇帝・珀陽。気まぐれにも見えるその態度の裏にあるのは、鋭い観察眼と人を見る確かな目だった。彼は茉莉花の力を信じ、あえて困難な任務を次々と与える。珀陽の「君ならできる」という信頼が、茉莉花の挑戦を後押しし、守られるのではなく、互いを認め合う信頼関係が築かれていく。