※本記事には作品のネタバレが含まれます。
幾度となく恋に落ち、その恋に破れるたびに思うのは、どうして私には運命の恋を感じ取る能力が備わっていないのかということだ。ある人は甘美な香りがしたと言い、ある人は心臓が激しく波打ち、またある人は吸い寄せられるような感覚がしたと言うが、そんな経験がある人は多くはないだろう。「目の前にいるのは運命の人」だなんて、そんな自信も確信ももてないからこそ、人は恋に悩み、苦しむのだろう。……ああ、私も運命の恋に落ちてみたい。紛れもない、運命の人と、どこまでも甘い恋に溺れてみたい。
読めば、そんなことをつい夢見てしまうのが『鬼の花嫁』(富樫じゅん:作画、クレハ:原作/スターツ出版)。シリーズ累計580万部突破、アニメ化も決定した和風シンデレラストーリー。幻想的な世界の中で育まれる恋の物語には、心奪われずにはいられない。特にコミカライズ版は待望の7巻が刊行され、今、ますます注目を集めている。