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「受動的攻撃」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これはおもに、攻撃的に見えない言動や態度によって、相手を困らせたり、怒らせたり、あるいは支配したりしようとする行動を指す。本人からしたら「攻撃の意図はない」ケースもあるが、結果としてこれらの行為が人間関係を悪化させるケースは少なくないのである。


『被害者姫 彼女は受動的攻撃をしている』(水谷緑/竹書房)は、そんな受動的攻撃の事例とそれに伴う人間関係の変化、心理的攻防の数々を描いた作品だ。


主人公・アヤは、どんなときも笑顔を絶やさず、自分の意見をほとんど主張しない穏やかな女性。だから周囲の評価は典型的な“良い人”だ。しかしその実、彼女は自分が不利な状況に陥りそうになると、表面上の対立を避けながら間接的に相手を追い詰める「受動的攻撃」を繰り出す。


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