※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年8月号からの転載です。
京都精華大学の美術学部洋画専門分野を卒業し、絵本作家を目指していた山口さん。自作の絵本を描いたこともあるとか。
「コウモリとモグラが、真っ暗な自分たちの家を自慢し合う絵本とかね。ただ、職人気質なのか描いたらそれで満足。絵画もそうですが、今では手元に残っていないんです」
夢を与えてくれたのは、幼少期に親から贈られたこの絵本。
「この本と『さむがりやのサンタ』の2冊が大好きで、子どもにもよく読み聞かせました。線はシンプルながら園児の持つ柔らかさが伝わってきて。真っ黒な中に“よる”とだけ書いてあるページもあって、枠にとらわれない自由さを感じます。こういう発想を持つ人に憧れますね」
今でも大事に取ってあり、折に触れて読み返しているそう。