日本を代表する作家・東野圭吾氏が、2025年に作家生活40周年を迎えた。その記念すべき年に初の子供向け絵本『少年とクスノキ』を刊行した。なぜ、作家である東野氏によって絵本のストーリーは執筆されたのか。担当編集者が聞いた。
累計120万部を突破した「クスノキ」シリーズの第2弾『クスノキの女神』の作中に登場する絵本が『少年とクスノキ』だ。小説の中では架空の物語なので、一部しか書かれていないが、それだけでも充分に心を打つものがあり、なくてはならない要素になっている。
なぜ物語を小説に組み込んだのか東野氏に聞くと、「主人公の伯母の病気がきっかけでした。現代の医学では救えない病気だから主人公にどう受け止めさせるかを考えた。なんとか救う方法はないかと考えましたが、そんな都合のいい話はない……。葛藤の中から見つけ出した答えが、絵本のストーリーに乗せて伝える方法でした」。詳しくは書けないが、『クスノキの女神』の読者ならその方法は見事に成功しているとわかるはずだ。