『それでも暮らしが続くから』(副島あすか/KADOKAWA)は、うつ病と共に生きる著者が描く、静謐で優しいコミックエッセイだ。美しく繊細なイラストが、疲れた読者の心に優しく寄り添う。
家賃8万円、築30年の2DK。そこに暮らすのは、イラストレーターの女性と猫の「たより」。彼女は3年前にうつ病を発症し、一時は生きることそのものを手放しかけた。そんな彼女が、日々の小さな“できた”を積み重ねながら生活を続けていく様子が、繊細で美しいモノクロのイラストと共に描かれている。
「喫茶店に行く」「病院に行く」「部屋を片付ける」彼女の日々を彩る出来事ひとつひとつは、ありふれた日常のワンシーンかもしれない。だが、彼女にとってはそれが自分との大切な約束であり、生きるための希望でもある。