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新 ぼくらの昭和オカルト大百科 初見健一 / 大空出版


つい最近、ある一冊の本に書かれた予知夢から「2025年7月5日に日本で大災難が起きる」という言説が拡散した。これを「予言」と取り、避難する人があらわれ、実際に海外からの観光客も減少。トカラ列島の群発地震をうけて気象庁が会見で予言を否定するなど、「予言」が世間を騒がしたことは記憶に新しい。かつてこうした「予言」は「オカルト」と一括りにしてネタ扱いし、娯楽として消費していた時代があった。昭和である。


初見健一氏の『新 ぼくらの昭和オカルト大百科』(大空出版)はそんな昭和の時代の単なる“大衆娯楽”であった「オカルト」を振り返り、あの時代をなつかしもうという本である。


本書の装幀を見てピンとくる読者は昭和のオカルトを浴びた世代だ。なんとも不安にさせる顔が描かれた表紙は、かの有名な五島勉氏による『ノストラダムスの大予言』(祥伝社ノンブック)へのオマージュである。また、タイトルとなっている「~大百科」は、かつて少年少女たちのバイブルとして心霊やらUFOやら怪獣の文庫を出していた「ケイブンシャ大百科シリーズ」へのリスペクトであろう。ページをめくる前からにじみ出る昭和のオーラがたまらない。


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