ダ・ヴィンチWeb


生きることには限りがある。食べることにも限りはある。


『あと365日の晩餐』(小太刀右京(チーム・バレルロール):原作、須田綱鑑:構成、半月板損傷:作画/秋田書店)は、こんな言葉で始まる。本作は、食べる者と食べさせる者の「命がけの勝負」を描いた痛快なグルメ漫画だ。


行方不明になった姉の中華料理店を1人切り盛りするトビラ。持ち前のタフさと姉のレシピを武器に店を守っていたが、売り上げが伸びずついに閉店を決意。しかし、ひょんなことから出会った余命1年のフードコンサルタント・つかさから手厳しい評価を受け、心に火をつける。斬新なアイデアで自分なりの料理を生み出すことに成功するのだった。自分が苦しみ抜いて向き合い「命がけ」で作った料理を「命がけ」で食べてくれるつかさと、「これからも勝負がしたい」と伝える。つかさの胃袋を掴む料理を作るため奮闘するトビラと、食べることへの並々ならぬ愛を持つつかさの物語だ。美味しい料理とそれを巡る人の様子をコミカルにテンポよく描く一方で、「何を食べ、どう生きるか」という問いを読者に突きつけてくる。


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