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第5回「進撃の駅弁」/酒飲み独身女劇場 ハッピーエンドはまだ来ない⑤

2024年3月22日

  • 意味もなくグラスに入った赤ワインを傾け三日月を描く夜。


    珍しく一人、家の中でグラスにワインを注ぎ、大好物のブルーチーズを切り分け皿に盛り付ける。


    今夜は気合が入っている。


    なんてったってずっと楽しみにしていた進撃の巨人のマーレ産赤ワインを飲んでいるのだから。 これは、兵団内の中でも偉い人しか飲めない噂のワイン。


    肝臓を捧げよ。


    夜が溶けてグラスの中はずっしり重く飲むたびに微熱が喉元に残る。


    真っ赤なマフラーが巻かれたように温かく心地いい。


     


    漫画や映画の主人公のように前向きでも天才でも努力家でもないけれど、赤ワインの香りをまとっている時だけ人生の主役になれる。


    ワインを仲間達と外で飲むと雰囲気に飲まれ瞬く間に奇行種のごとく暴れ出し、葡萄のようなアザを膝に作っていることしばし。 やはりワインはゆったりとした空間で静かに飲むものだと再実感する。


     


    夜はエモーションを連れてくるので、最終話まで見終えてしまった進撃の巨人の愛おしいシーンが脳内で再生される。

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