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『限界OLさんは悪役令嬢さまに仕えたい』(ネコ太郎/秋田書店)は、社畜気質で「自分の価値」を見失っていた主人公が、悪役令嬢との出会いをきっかけに、かけがえのない居場所と自分らしさを取り戻していく、異世界お仕え系ファンタジーだ。


派遣社員として日々こき使われ、評価もされず、ついには派遣切りにあった名鳥翠(なとり・みどり)。「私を必要としてくれる場所なんてない」そんな絶望の中、彼女はノベルゲームの世界に召喚されてしまう。しかも目の前に現れたのは、推しキャラではなく、作中屈指の悪役令嬢、ラピス・テネブラエ。残虐非道で知られる彼女に命を狙われるのでは──と身構える翠だったが、ゲーム知識を活かしてラピスの命を救ったことで、秘書として仕えることに。


悪役令嬢・ラピス様は、単なるサディストや気まぐれなお嬢様ではない。守りたいもののためなら冷徹な道も厭わないという矜持を持ち、悪役に徹する覚悟を背負った存在だ。その一方で、翠にだけ向ける優しいまなざしに触れるたび、彼女の“人間らしさ”がにじみ出て、読む側の胸をぎゅっと締めつけてくる。物語が進むほどに、そんな彼女の魅力にときめかずにはいられない。


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