今年の夏休みももうすぐ終わりが見えてきた。旅行や帰省等で「移動」をした人も多そうだが、「行きたい場所に自由に行けた人」は、果たしてどれくらいいたのだろうか?
『移動と階級』(伊藤将人/講談社)は、移動における格差をさまざまなデータから可視化し、問題提起した一冊である。
移動格差とは、本書によれば
引用----
人々の移動をめぐる機会や結果の不平等と格差、それが原因で生じるさまざまな社会的排除と階層化
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とのこと。
例えば裕福な家庭で育ち健康的な身体を持つ20歳男性なら、望めばフットワーク軽く日本全国、世界中どこにでも行き、さまざまな経験を積むことができる。
一方で、家庭環境が貧しく身体的な障害がある20歳の男性ならどうだろうか? 同じ年齢の同じ男性でも、「移動に対するハードルの高さの違い」によって格差が生じる可能性があることは、誰しも理解できるだろう。