『聴診器からきこえる 動物と老いとケアのはなし』(中央法規出版)の刊行を記念し、著者の獣医師で札幌市環境局参与(円山動物園担当)の小菅正夫さんと、“芸能界一の動物好き”を自認する令和ロマンの松井ケムリさんのトークイベントが開催されました。
小菅さんは北海道・旭山動物園の元園長で、一時は閉園の危機があった園を日本最北にして“日本一の入場者数を誇る動物園”に育て上げたことで知られています。これまで目にしてきた動物の出産や死、長年のふれあいを経て生まれた絆などが軽快な語り口で語られ、松井さんが感動したり驚いたりする場面も多くありました。
“動物の弁護士”小菅さんが原点を語る
言葉を喋らない動物たちの気持ちを代弁する“動物の弁護士”ともいわれる小菅さんは、幼い頃から生き物が大好き。動物に関わる仕事の原点になったのは、小学生の頃に地元の北海道で飼っていたゼニガメだったという。
「当時はお祭りの屋台でカメを売っていたわけ。生き物は何でも好きだったからカメを飼い始めたら、夏の間は順調に生きていたけど、秋から冬にかけて突然食べなくなった。その時、うちのおばあちゃんが『カメは冬眠するから、真綿にくるんで春までタンスの中に入れておけばいい』と言うから素直にそうしたら、カメがみんな干からびてしまった」と小菅さん。どうやら冬眠の仕方が違っていたようだが、「おばあちゃんに話したら『ちょうど寿命だったんだねぇ』と言われた」というオチのようなラストもあって会場が沸く。