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絶望しても走るのをやめない、人と本を結ぶ物語


銀河の図書室  著:名取佐和子 / 実業之日本社


■銀河の図書室


著:名取佐和子


出版社: 実業之日本社


出版社からの内容紹介


「ほんとうの幸い」って、何だろう?


瑞々しく、愛おしく、胸に響く傑作青春小説!


県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」は、宮沢賢治を研究する弱小同好会だ。部長だった風見先輩は、なぜ突然学校から消えてしまったのか。高校生たちは、賢治が残した言葉や詩、そして未完の傑作『銀河鉄道の夜』をひもときながら、先輩の謎を追い、やがてそれぞれの「ほんとう」と直面する。今を生きる高校生たちの青春と、宮沢賢治の言葉が深く共鳴する感動長編。


名取佐和子さん『銀河の図書室』が、第35回「宮沢賢治賞奨励賞」を受賞しました。本作は、第71回「青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書に選出、「小学館児童出版文化賞」にもノミネートされるなど、各方面から高い評価を得ています。


高校の図書室を舞台に、宮沢賢治の言葉を残して突然学校から消えた先輩の謎を追う高校生たちを、瑞々しい筆致で描く本作が生まれた背景について、著者の名取佐和子さんに伺いました。


構成/編集部 撮影/国府田利光


青春の暗い面よりも明るい面を


今作『銀河の図書室』は、高校の図書室を舞台にした青春小説です。前作の『図書室のはこぶね』(2022年)は、とても大きな反響がありましたね。各地の司書さんたちが選ぶ「おすすめ本」に選ばれました。


名取:幅広い年代の方から、今までにない数の感想をいただきました。その中で、多くの方がご自身の青春時代に触れてくださったり、あるいは「こういう青春が欲しかった(欲しい)」と書いてくださったりしたので、青春と青春まっさかりの人間模様は普遍的なのだと実感できました。


嬉しい手ごたえでしたね。


名取:「いくつになっても、いくつの人に向けても、青春小説を書いていいんだよ」と励ましてもらった気がしました。


その反響を受けて、同じ県立野亜高校を舞台にしたのですか?


名取:はい。『図書室のはこぶね』は、「青春」が内包する明るさや前を向く力を「行事」という形で切り取り、幅広い年代の方が楽しんでくださいました。なので次も青春小説を書くなら、「青春」の暗い面よりは明るい面を切り取りたいと決めていました。世界や自分にどれだけ絶望しても走るのをやめない高校生たちの希望の物語にしたいと。その舞台として、野亜高校以外考えられなかったのです。


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