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現在絶賛放送中のTVアニメ『カッコウの許嫁 Season2』。原作は、今年連載5周年という節目を迎え、物語も人気もますます大きな盛り上がりを見せている。


今回は、アニメ放送の熱気そのままに、最新29巻が発売されたばかりの作者・吉河美希氏にインタビューを敢行。Season2から登場する新ヒロイン・あいの誕生秘話から、連載5年目だからこそ語られる“変わらず大切にしてきた視点”まで。『カッコウの許嫁』の現在地をたっぷりと伺った。


  ©吉河美希・講談社/カッコウの許嫁製作委員会2


アフレコ現場は学びと発見の宝庫、Season2の嬉しい驚き


――現在、TVアニメ『カッコウの許嫁 Season2』が放送中ですが、制作が決まったときはどんなお気持ちでしたか?


吉河美希さん(以下、吉河):1期から少し間が空いていたので、まずは「よかったな」と。ほっとしたというのが率直な気持ちです。また、2期からは1期とは違う方々がスタッフに加わっており、新鮮な気持ちとともに「原作ともどもよろしくお願いします」という思いを持ちました。


一方、声優さんたちは変わらず、安心できるメンバーにまた会えたという感覚でした。久々の再会でしたが、皆さんもともとお芝居が上手なのに「もっと上手くなってるんですけど⁉︎」と驚かされる場面もあり、とても嬉しい再スタートでした。


――アフレコ現場には結構見学に行かれたのでしょうか?


吉河:そうですね。全部に行けたわけではなく、時間がしっかり取れそうな時や、少しでも立ち寄れそうな時に足を運んでいました。でも、見学というより、勉強しに行っていた感覚でしたね。


――勉強というと、具体的にはどのような?


吉河:キャラクターが声に感情を乗せて話す姿を、間近で体感できるところですね。人によるかもしれませんが、私の場合、漫画を描いているときは、彼ら(キャラクターたち)が勝手に脳内で言葉を発しているようなイメージなんです。


それが音声として具現化され、マイクを通して耳に届くと、「あ、このキャラクターはこういう気持ちで、こう喋っていたんだ」と改めて気付かされます。自分で描いているので当たり前のはずなんですけど、リアルに聞くことで解像度が一気に上がるんです。


さらに、監督が「このキャラクターはこういう気持ちだと思うので、もっとこんな感じで言ってください」と声優さんにディレクションされているのを聞くと、「あっ、確かに……!」と腑に落ちる。人を介してキャラクター像がより鮮明になる経験ができるので、毎回すごく勉強になっていました。


――なるほど。今のお話は、制作陣の皆さんが聞いたらすごく喜ばれるんじゃないでしょうか。


吉河:そうかもしれません。でも私は基本的に何も言わずに「うんうん」と聞いているだけで、「吉河先生、どうですか?」と聞かれても「あっ、いいと思います」しか言えなくて……。あとはテーブルのお菓子をたまにつまんでいるくらいだったので、皆さんからは「この人何しに来てるんだろう」と思われていたかもしれません(笑)。本当に制作陣に恵まれていて、幸せな作品だなと思いながらいつも現場にお邪魔していました。


新登場のヒロイン・あいは、Season2への期待そのもの


  ©吉河美希・講談社/カッコウの許嫁製作委員会2


――アニメ化を経て、こんな一面もあったんだと感じたキャラクターはいますか?


吉河:全員に新たな発見がありましたが、2期に関しては、やはり今回から登場するあい(望月あい)です。オーディションで選ばれた羊宮妃那さんが演じているのですが、ブースに入って実際に声をあててもらった時から「あいはこういう子だ」と羊宮さんの中で理解して考えてくださっていたものが、私の解釈とも一致した感覚でした。


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