※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年9月号からの転載です。
控えめなのに芯が強く人懐っこいのに高潔。不思議な魅力に惚れた
『特別展 古代メキシコ マヤ、アステカ、テオティワカン 展覧会図録』
(NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社:発行)2800円(税込)※品切重版未定
装丁:佐藤大介(サトウデザイン)
僕が初めて「メキシコ」を認識したのは、1986年サッカーW杯メキシコ大会だ。アディダス製の公式球「アステカ」の幾何学模様にときめいてしまって、同じデザインのボールを親に買ってもらった。いま思えば「グラフィックデザイン」に目覚めたのもこの時だったと思う。
そんな僕は2023年、東京国立博物館で催された「古代メキシコ」展に鼻息を荒くして家族まで連れ出して向かった。今回紹介したいのはその展覧会図録だ。