ダ・ヴィンチWeb


「ヒモ男」そう聞いてどんな男性を想像するだろうか。『ヒモメシ』(塩野ネリコ/ぶんか社)に登場するヒモ男は、なんとも一風変わっている。


本作で描かれるヒモ男・夏生(なつお)は、人の食卓に自然に入り込み、共にご飯を食べる不思議な男性だ。彼を中心に繰り広げられる人間ドラマに、読めば心が温かくなるはず。


人目を惹く容姿と、天性の人懐っこさを持つ夏生。誰の懐にもするりと入り込み、気づけばその家の食卓に座りタダ飯を食べている。


出会った相手は見ず知らずの人ばかりだが、彼の柔らかな物腰と優しい笑顔に翻弄され、両者は次第に打ち解けていく。


姉への劣等感を抱えた、ひとり暮らしを始めたばかりの女性。料理を「口実」として利用されることに違和感を抱く女性。夏生は、悩みを抱える人々の食卓に溶け込み、料理を囲みながらその心の奥に触れていく。


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