児童文学作家・はやみねかおる氏の公式ファンクラブ〈赤い夢学園〉。はやみね作品の世界を楽しみつつ、校長・はやみね氏と交流し、作品づくりを応援できるサイトだ。
そんな〈赤い夢学園〉内の「倉木研究所」で、AIを使用して「怪盗クイーン」シリーズの人気キャラクターを再現する「RD育成プロジェクト」がスタートする。“未完成のAI”「RD」を、ファンとの対話を通じて知識や性格を学習させ、AIとして成長させていくプロジェクトだ。
このプロジェクトを行うきっかけになったのは、東北大学でAI研究を行う赤間怜奈氏のインタビュー。「人工知能」という存在に興味を知った入口が児童文学だったといい、まさしくそれが「怪盗クイーン」シリーズのRDだったのだ。
本記事ではそんな赤間氏と、原作者のはやみね氏が初の対談。お二人から見た本プロジェクトやAIについてなどのお話を伺った。
――「『人工知能』という存在に興味を持ったきっかけは、小学生の頃に出会った児童書でした。」と赤間さんが答えていたインタビューが、今回のプロジェクトのきっかけと伺いました。
赤間怜奈氏(以下、赤間):「人工知能」という概念を知ったのが、はやみね先生の作品でした。一番最初に読んだはやみね作品は、小学生低学年の頃に図書室で借りた『そして五人がいなくなる』だったと思います。ミステリー作品が好きだったこともあり、夢中になって読みました。シリーズを追っていくうちに『いつも心に好奇心! 名探偵夢水清志郎清志郎VSパソコン通信探偵団』に行き着き、そこで怪盗クイーンと世界最高の人工知能RDに出会いました。
――RDを盗み出そうとする怪盗クイーンと、名探偵夢水清志郎の対決が描かれた小説ですね。
赤間:強くて美しい、怪盗なのにヒーローみたいなクイーンに惹かれたのはもちろんなのですが、『いつも心に好奇心!』で、人工知能には心があるのかどうか、感情を持つべきかどうか、という議論がなされていたことがとても印象に残っていて。結果的にRDは、怪盗クイーンの乗る飛行船トルバドゥールの制御システムとなるんですけれど、人間ではないのに、誰より「人間」を理解しながら、仲間の一人としてサポートし続けるその姿が、あまりにかっこよくて、人工知能という存在自体に興味を持つようになりました。