気になる、気になる、気になる! そんなちょっとした好奇心が思わぬ事態を招くとは……。読後に嫌な気持ちが残ることで知られるミステリー、通称「イヤミス」。その旗手であり、“イヤミスの女王”と称される真梨幸子氏の新作『波乱万丈な頼子』(中央公論新社)が、2025年10月7日(火)にリリースされた。
真梨氏は2005年、『孤虫症』で第32回「メフィスト賞」を受賞してデビュー。2011年に文庫化された『殺人鬼フジコの衝動』は50万部を超えるベストセラーとなり、実写ドラマ化や舞台化も展開されるなど大きな話題を呼んだ。
真梨幸子作品の最大の特徴は、人間の心の奥底にある醜さを巧みに描き出すことにある。たとえば『殺人鬼フジコの衝動』で描かれたのは、一家惨殺事件でただ一人生き残ったフジコの軌跡。どうして新しい人生を歩み始めたはずの彼女が“伝説の殺人鬼”となってしまったのか……。その過程で浮かび上がる人間や社会の底知れぬ闇、そして最後の1行が放つ衝撃は、多くの読者に忘れがたい余韻を刻みつけた。