探偵はいつだって手遅れ。誰かが死んでしまった時点でもう取り返しはつかないのに、そこで事件の犯人を暴いたところで…と考えたことはないだろうか。それよりも必要なのは事件を未然に防ぐこと。殺人事件を“未遂”で終わらせることの方が、ずっと重要で、ずっと価値があるはずだ。
すべての殺人事件を“未遂”で終わらせる探偵がいたとしたら——海冬レイジ氏による『未遂同盟』(海冬レイジ/KADOKAWA)はそんな高校生探偵の物語。ミステリであると同時に、青春小説でもあるライトノベルだ。殺人計画を練るのは、とびきりキュートで妄想力抜群の女子たち!? そんな殺人計画女子高生と、どうにかその犯行を止めようとする男子高校生のやりとりに思わずニヤニヤ。それでいて、ときに、人の生き死にがかかった緊迫の場面に手に汗握らされる新感覚の作品なのだ。