※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2006年8月号からの転載です。
筒井康隆のジュプナイル小説『時をかける少女』(以下『時かけ』)は、72年に「タイムラベラー」の題名でテレビドラマ化されて以来、内田有紀主演の連続ドラマ(94年)、安倍なつみ主演の単発ドラマ(02年)など、時を越えて何度も映像化されてきた。
誰もが記憶に残っているのは、当時14歳の新人アイドルだった原田知世が主演し、“映像の識術師”大林官彦監督による映画版(83年)だろう。原田知世が歌う主題歌も大ヒットしたこの作品は、広島県尾道市を舞台に、原作では描かれなかった三角関係や初恋要素を膨らませた、青春恋愛映画の傑作だ。
そしてこの夏、『時かけ』が“初めて”アニメ化される。監督は劇場版『ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』、ルイ・ヴィトンの店頭プロモーション用アニメ『SUPERFLAT MONOGRAM』(現代美術家・村上隆とのコラボレート)を手掛けるなど、掛け値なしに今最も熱い注目を集める、細田守。キャラクターデザインは『新世紀エヴァンゲリオン』を手がけた貞本義行が担当する。
主人公はなんと、小説版の主人公である芳山和子を「魔女おばさん」と呼ぶ、紺野真琴。2006年の東京下町で古器校生活を送る、アニメ版オリジナルキャラだ。彼女の声を演じるのは、数百人のオーディションから選ばれた新星、仲里依紗。原作で描かれた事件から約幻年後、38歳になった芳山和子の声を、若手節頭の実力派女優、原沙知絵が演じる。