ダ・ヴィンチWeb
  • 『イン・ザ・メガチャーチ』 (朝井リョウ/日本経済新聞出版)


    引用----


    「中毒症状があるほうが苦しくないのだ、人生は」


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    帯の裏に書かれたこの言葉を見た時から、この本にハマる予感はしていた。だが、ハマるどころか、こんなにも深く心を抉られるとは思わなかった。……わかる。わかりすぎて苦しい。日々感じる孤独。そこから逃れるための手立て。虚構と現実の境を溶かすような言葉の渦に瞬く間に飲み込まれてしまった。


    そんな作品が、朝井リョウの作家15周年記念作品『イン・ザ・メガチャーチ』(朝井リョウ/日本経済新聞出版)。「推し活」文化、「ファンダム経済」と呼ばれる現代の熱狂を、冷徹なまでに描き出した衝撃作だ。どうして朝井リョウはこんなにも今という時代を巧みに切り取ることができるのか。過熱する「推し活」と、その中で翻弄されていく人々の姿は、決して他人事ではいられない。他人事でいられないからこそ、怖い。この物語の中の登場人物のひとりになったような気持ちで、ページをめくらされ続けた。


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